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岩国市田舎村昆虫館は、イモムシとかアオムシなどと言われている幼虫の写真が沢山現れますので、昆虫が嫌いな方へは閲覧をお勧めしません。しかし、子供さんの夏休みの自由研究などに役立つ記事が沢山ありますので、興味のある方はご覧になって下さい。

蝶の幼虫の飼育(2) 蛹の保護ポケット・羽化の補助具・蛹(帯蛹・垂蛹)の移動・落下した蛹の吊下げ・他

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●このページは、前ページからの続きです

垂蛹の移動(引越し)

ツマグロヒョウモンなど、蛹が垂れ下がる垂蛹タイプを飼育していると、飼育箱の蓋の裏側で蛹になり、どうしても取り除いて別の場所へ引越ししたいことがあります。
蛹を取り外す時、蛹を掴んで引っ張るわけにはいきません。
簡単な方法の一つをご紹介しますので、引越しの必要な方はトライしてみて下さい。
この方法は一例であり、皆さんのやり易い方法が一番です。
なお、蛹になってから日が経っていないと蛹に何かが触れただけでも大暴れします。
この例の場合は、蛹になってから4日目ですが、作業の間ずっと暴れまくっていました。

引越しの方法

  1. 蛹を吊り下げるものを準備します。
    材料は割り箸。ビニールタイでくくりつけました。
    P20080901-P1050920-2
  2. 引越しする蛹の尻の周りにセロテープを貼り付けて剥がしてみます。
    尻の周りの糸が見えれば、その上に貼り付けて下さい。
    P20080901-P1050923-2
  3. セロテープを剥がした時、尻の周りの糸とともに蛹がくっついていたら成功。
    P20080901-P1050924-2
  4. セロテープを二つ折りにして糸を挟み込みます。
    P20080901-P1050925-2
  5. セロテープを幅3mmくらいに切ります。
    P20080901-P1050927-2
  6. 幅3mmに切ったセロテープの部分を、新しいテロテープで割り箸に取り付けます。
    P20080901-P1050928-2
  7. 以上で完了です。
    難しいことを書きましたが、尻尾の周りの糸を剥がして、水平になった割り箸などにくっ付ける。
    これだけの作業です。
    万一、作業中に蛹の尻尾が糸から外れた場合は、次の項の「落下した垂蛹の吊り下げ」をご覧になり、吊り下げて下さい。
    なお、草花の葉など、鋏で切り取れるものに垂れ下がった蛹の引越しは非常に簡単です。
    2008年・ルリタテハの観察日記(5)の2008年7月27日(2)蛹の引越し要領も合わせてご覧願います。
    P20080901-P1050929-2

落下した垂蛹の吊り下げ

ツマグロヒョウモンの蛹化を見ていて、あれだけ大暴れしてよくも落下しないものだなと感心します。しかし、何匹かを飼育していると、不手際で尻が外れて落下する蛹もあります。
ツマグロヒョウモンやルリタテハのような垂蛹は、転がしておいては羽化できませんので吊り下げなければなりません。
2007年も何匹かを吊り下げましたが、羽化に至ったものもあり羽化に至らなかったものもあります。2008年は、前年の不都合を改善したつもりで実施してみましたのでご覧下さい。
材料は、糸と木工ボンド。吊り下げる割り箸なども必要です。
下の図は、写真で判り難いところを説明したものです。
P20080902-P1050993-2

吊り下げの方法

  1. 糸を輪にします。
    P20080902-P1050994-2
  2. 輪にした糸を尻尾の先端のカギになった部分に掛け、極く軽く結びつけます。
    絶対に締め付けないで下さい。蛹が壊れます。
    P20080902-P1050995-2
  3. 尻尾の先端部分に木工ボンドを付けて、尻尾と糸を接着します。
    P20080902-P1050996-2
  4. L字型に組んだ割り箸等の水平部分に、糸をセロテープで止めれば完了です。
    P20080902-P1050998-2

注意事項

  1. 尻尾の先は絶対に締め付けないで下さい。
  2. 木工ボンドは尻尾の先端以外には付着しないようにして下さい。
    腹の部分に接着剤が付着すると気門が塞がって蛹が死んでしまいます。
  3. 木工ボンドは速乾性のものが便利です。
  4. 瞬間接着剤は絶対に使わないで下さい。浸透性が強いので蛹は死にます。
  5. 有機溶剤系の接着剤も蛹が死にますので絶対に使わないで下さい。
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保護ポケットを使わない帯蛹の移動

糸が切れたり外れたりして垂れ下がった蛹、落下した蛹の救出方法として、このページの上部に保護ポケットを紹介していますが、ツルツルしたケースの壁などにくっ付いた蛹については、羽化した時に掴まるところが無く(張り巡らせた糸に掴まれば幸いですが)、転落してしまい、翅が広がらずに飛び立てないことが多いようです。
このような場合は、背中に掛けた糸を切り、尻尾の先端の糸を剥がして、保護ポケットへ入れるのも一つの方法ですが、保護ポケットを使わない移動の方法をお教えします。
もし、糸剥がしに失敗したら、保護ポケットへ入れて下さい。

移動の方法

  1. 背中に掛けた糸の壁の付け根と、尻尾の先端の間隔を測ります。
    この例では30mm。
    P20090616-P1120089-2
  2. 移動先の棒に、で測った間隔の印をつけます。
    P20090616-P1120090-2
  3. 蛹の周りの糸の部分にセロテープを貼ります。
    写真ではセロテープは見え難いのですが、蛹の上と、両側でよいと思います。
    心配なら、尻尾の下も貼って下さい。
    セロテープは必ず端っこを重ねて下さい。
    重ねておかないと、剥がす時に、真綿のような糸が破れてしまいます。

    P20090616-P1120091-2
  4. 剥がしたものです。
    判り易いように、色が付いた所で撮りました。
    P20090616-P1120092-2
  5. 背中に掛けた糸の部分を、棒の印に合わせて、セロテープで貼り付けます。
    P20090616-P1120093-2
  6. 次に、尻尾側を、棒の印に合わせて、セロテープで貼ります。
    これで完了です。
    P20090616-P1120094-2
    P20090616-P1120095-2

セロテープを貼る時はケチらないで下さい。
短かったり、重なりがなかったりしたら、真綿のような糸を破ってしまいます。

移動時の例(1)

[背番号2009-154]キアゲハ
怪我をしています。

P20090806-P1010915-4

移動時の例(2)

背中に掛けた糸側を箸に貼り付ける。[背番号2009-183]ナガサキアゲハ
背中に掛けた糸の部分と、尻尾の部分にセロテープを貼って蛹を剥ぎ取る。
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P20090819-P1120734-2

尻尾側を貼り付けて、完了。
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